遺言相続あれこれ
こんな方は遺言書をつくりましょう。相談例から。
◎お子様、お孫様がなく、夫婦どちらかが先立てば、残された方に財産をすべて譲りたい。
「私は妻と二人で所帯を営んでおります。子どもはいません。財産と言っても、二人で働いたお金で購入したマンションだけで、貯金もたいしてありません。マンションは私と妻と二分の一ずつの共有名義になっています。どちらかが先立つようなことになれば、残された方は二人で過ごしたこのマンションで一生を終えるつもりです。
ところがある人から、私たちの兄弟にも相続する権利があるから遺言書を書いておいた方がいいよと言われました。どういうことでしょうか?
私には妹が二人、妻には兄が一人います。」
お二人でずっといっしょに歩んでこられたのですね。しかし、どちらかが先に逝かざるを得ないとは不条理な定めです。
このご相談の場合、もし遺言書がないと、お亡くなりになった方の兄弟姉妹から法定相続分を請求される可能性があります。残された方にとっては義理の兄弟になりますね。
この場合法定相続は、残された配偶者が四分の三
お亡くなりになった方の兄弟全員で四分の一です。
たとえば、このご相談者である夫が先に亡くなった時には、法定相続分は妻が四分の三、妹がそれぞれ八分の一です。遺産がマンションだけですので、残された妻は当然そのマンションで生活したいのですが、妹たちから「このマンションの四分の一は私たちのものだから、住むんならその分は賃貸料を払え」とか、「家は全部あなたのものにして下さい。その代わりいくらかお金をいただけませんか」とか言われたらどうでしょう。困ってしまうと思います。
確かに法定相続分はそうなっています。遺言書がなければそう主張されても仕方がありません。
しかし、遺言書で指示しておけば、残された妻が全財産を受け取ることができますので、このような心配はなくなります。
もちろん、妹さんが「いいよ、いいよ。おねえさんが全部相続してくれたらいいよ。」と言ってくれたら遺言書がなくても問題なくすべて相続できます。
◎世話になった嫁に財産をわけてあげたい。
「私は次男の嫁と二人で暮らしています。夫と次男とは10年前に事故で他界しました。次男と嫁の間には子どもがいません。私のもう一人の子どもである長男は、ずいぶん前に家を出て別に暮らしています。次男の嫁には私の財産を相続する権利がないと聞きましたがそうなんでしょうか?
私としては、ずいぶんお世話になった、そしてこれからも面倒をみてくれるであろう次男の嫁に財産の半分はわけてあげたいのですが・・・」
すばらしいお心遣いです。たしかに法定相続ですと、相談者の財産はすべて長男が相続することになります。
ただし、遺言書で次男の嫁にこれこれの財産を遺贈すると書いておけば、次男の嫁も問題なく財産を受け取ることができます。この場合は、長男の遺留分は相続財産の二分の一ですので、次男の嫁に二分の一を遺贈しても遺留分の侵害にもなりません。